こんにちは、TYIZです
激動だった3月が終わります。
T3TECは
今月で開業2年経ったんですが
そんな感慨を感じている間もなく慌ただしく過ぎた感じでした。
一般的にクルマ業界で3月って
自動車販売ディーラーが頑張って3月登録を目指したから
車検が多く
4月1日現在の所有者に自動車税がかかる関係から
陸自も変更手続きで大混雑。
20年以上前に登録されたNSXにとっては
3月だからといって車検が集中する理由は無いんだけど
それでも3月は車検の依頼が多くて忙しかった。
明日から4月になる今日現在
預かりの車輌は一気に減って
久しぶりにファクトリーの中に余裕があります。
まあ、エンジンとかの大作業がいくつも残っちゃっているから
やることはたくさんあるんですけど。
車検と言えば
うちでは24ヶ月点検で必ずプラグ&コイルを脱着点検しています。
ダイレクトイグニッションが採用された現在のクルマでは
車検整備でもプラグの点検は省略してしまう業者さんが多いんですが
外してみると
色々発見してしまうこともあります。
一番多いのは
リアバンクイグニッションコイルの錆。
NSXは洗車した際にも
リアハッチを流れた水がリアバンクのコイルカバーにかかるので
染み込んだ水で
どうしてもリアバンクのコイルが錆びやすく
錆が進行すると内部のコイルが断線して1気筒失火して不調になります。
こんな現象
他のクルマではあまり経験が無いんだけど
何故かNSXのコイルは錆に弱く
薄い鉄板を積層した鉄芯が錆びると膨張するので
巻かれたコイルが断線してしまうようです。
錆が進行したら止めようが無いので
樹脂製のケースが膨らんでいたらコイルは交換しちゃいます。
それと
純正では無いプラグを使ってトラブルが起きている事例も散見します。
NSXのコイルからプラグへの通電は
コイル側のコンタクトポイントがプラグの先端に圧着して行われるんですが
純正外のプラグでは
先端電極にネジ穴があいているヤツがあるんですよね。
ここに
コイルのコンタクトポイントが入ってしまうと
接触圧力が無いから
ここでもスパークが飛んでしまって
プラグもコイル側もボロボロになっちゃいます。
ラジオにノイズが入ったりして おかしい・・と気付く人もいるんですが
長期間放置で走り回っていると
点火不調を起こしてアイドリング不安定になったりパワーダウンしたりする。
こうなると
コイルも全て交換しないと治らないからけっこう費用がかかります。
とにかく
プラグは純正を使いましょう
NSXの純正はPFR6G-11です。
このプラグは
中心電極とブリッジの両側にプラチナを使った非常に優秀なモノで
5万キロ走ったってほとんど電極は消耗しません。
だから電極の消耗よりも
セラミックと鉄の隙間からガスの吹き抜けが始まったら交換時期かな・・
と言う判断にしています。
でもおそらくは
10万キロ以上走っても性能上は問題ないくらい超耐久性が高いプラグだと思います
熱価も6番で十分。
サーキットを走り回っても
6番を真っ白に焼いてガイシを割る様な事は無いです。
ハイカム仕様のC32B換装くらいのチューニングをしているお客さんでも
みんなプラグはPFR6Gでトラブルは起きていません
AT車では5番が推奨だけど。
プラグの熱価は
燃焼温度と回転数で選択していくんですが
燃焼温度が高くて高回転回る
高回転型ターボエンジンだと
プラグが冷えている時間が短いのでプラグの熱価は高くなります。
軽自動車のターボ車が純正で7番とか使うのはそのためでしょう。
プラグは燃焼するための火種を作る物だから
熱価は
エンジンの出力とかでは無く
プラグ自身の温度を選択基準にします。
NSXみたいに
大排気量NAエンジンだと
ターボに比べれば燃焼温度は低いし
低速トルクが大きいから常用回転数は低いし
プラグは実はかなり楽をしています。
パワステの話し。
パワステラックの修理で
また最近になって色々進化しています。
今のところ時間が取れなくて
時々この掲示板で紹介するだけですけど
いつか
こういった技術情報みたいなWebページを作りたいと思っています。
パワステの動作にガタが出て
停車状態で左右操舵時に
ガクッガクッとガタを感じる現象は
数年前から修理が可能になってきたんですが
時々
ガタを除去する修理を行った後
どうしても動作が渋い・・と言う個体が出ていました。
走行上問題は無いんだけど
ラック単体で動作検証していると
個体差というのが生じていたんです。
何故こうなるのかな・・と悩んで
調整困難になるから今まで手を加えていなかった部分をバラして
調整治具を作って修理プロセスを増やしてみたら
これが実に上手くいきました。
同時に
なぜ、パワステのガタが出る現象に個体差があるのか?
かなり距離を走っていてもガタが少ない個体もあれば
走行距離なんて2万キロ位なのにガタが大きかったり。
これの原因も分かってきました。
今まで
ラックのOH作業に関して
滑らかに動作する様に調整を追い込むのに一苦労していたけど
対処法の確立で調整は一気に楽になりましたね。
それと
時々内部ギアが欠けている個体の修理法も確立。
NA2になって廃止されたんだけど
初期型パワステには「回転センサー」と言うのがあって
ステアリングを回す方向と速度を検出しています。
構造は単純で
ステアリングで回すピニオンシャフトからギアを介して
小型モーターを回し
その起電力と方向を回転センサー信号として使っています。
ところが時々
ピニオンシャフトとセンサー間のアイドルギアが欠けちゃうんです。
運転していて気付かないことが多いんだけど
ラックを分解整備していると
ピニオンシャフトを回しているときに
時々「カクッカクッ」と引っかかりを感じることがあって
歯欠けが多くなるとパワステのエラーになります。
対処法と言っても
ギアを交換するしか無いわけだから
同じモジュールと歯数のギアを入手して交換するだけですけどねぇ。
さて、明日から4月に入ります。
寒さも和らいで現場作業は楽になっていきますが
花粉さえ無くなってくれればなぁ。。
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