こんにちは、TYIZです
T3ファクトリーは
エンジンOHなどの重作業が重なっているけど
預かり車輌も減っている状態。
そんな中 絶不調のType-Sを預かって整備を開始。
クルマ自体のコンディションは悪くないんだけど
なにせ
エンジンは不調で5気筒しか回ってないような感じだし
クラッチもミッションも調子が悪い。
なにせ貴重なType-S
オーナーは不調を分かってこの状態で購入したので
購入後ほぼ乗らずに
そのままウチの工場に入庫してきた次第。
このオーナーさんは
過去にNSXを2台乗り継いで
それまでType-Rに乗っていたんだけど
Rには疲れたのでSに乗り換えた次第で
エンジン不調などは修繕すればOKと言うことで
最初から
ワイヤースロットルV・Pro制御のType-Sを仕立てる計画で作業を開始。
この考え
私的には良く分かるんだよね。
実際 Rに乗ったことがある人って少ないと思うけど
サーキットチューンなType-Rは
軽量ボディのおかげでフラット路面では素晴らしく軽快だけど
なにせ一般路では跳ねるし騒々しいし
とにかく落ち着かない走行フィールになる。
その点
C32Bや6MT 純正のレカロシート 防振&遮音など
NSXのストリートチューンで欲しいモノが
全部盛りになってるのがType-Sなんだよね。
評価ではRの影に隠れちゃっているような感じだけど
実は
一番お得なのがType-Sだったと思うんだ。
まあ、それはさておき
今回の不調なType-S
こりゃあ、エンジンにナニか起きてるんだろう・・と言うことで
走行距離も多いから
エンジンのOHを依頼されてエンジン降ろし作業を開始。
事前に計測したコンプレッションは
6気筒とも限度値以内の圧縮があるんだけど
過去の整備状況が分からず
どうにも不安が多いエンジンだから
フルにOHして消耗部品を交換しつつ組み直す計画で進行。
タイミングベルトがズレているかな・・と思ったんだけど
これは正常
ただ、クランクプーリーのウェイトがベルトカバーを破った形跡があり
過去に
全開走行を繰り返して
プーリーのウェイトが飛んだことがあるんだと思われる。
ヘッドを外してみると
吸排気バルブなど意外なくらいキレイでコンディションが良さそう。
でも、ピストンのアタマはカーボンの堆積が大量で
この様子から想像するに
過去に
プーリーのウェイトが飛んでタイミングベルトがズレて
バルブとピストンが当たって
ヘッドだけOHして組み直した・・
なぜ大穴が空いたベルトカバーをそのまま使ったのかは謎だけど
大急ぎで修復作業でもしたんだろうか・・
今回は
シリンダー側までフルにOH依頼だから
クランクとピストンも外して分解
圧縮は有ったんだけど
なにしろピストンのカーボンが凄まじい。
溝に詰まったカーボンでピストンリングの動きが悪いし
オイルリングの隙間も
びっしりカーボンが詰まっていて
こんな状態でエンジン始動中
ちゃんと圧縮が出来ていたのかな・・と言う感じだ。
シリンダーに大きな傷は無いし
ピストンリングは全て新品交換することにして
ピストンは超音波洗浄機に放り込んだから
細部までキレイにカーボンが除去された。
このType-Sは
このままキレイサッパリエンジンをOHして組み立てて
ワイヤースロットルV・Pro制御に変更する予定。
入庫時の不調の決定的な原因は不明なんだけど
もしかしたら
プラグを抜いてセルを回し
コンプレッションテスターで計測した数値は適正値でも
エンジンが始動中は
ピストンリングの隙間から猛烈にガスリークしていたのかも知れない・・
まあ、今回は
エンジンはフルにOHして
制御をV・Proに変更してしまうから
どこに原因があったとしても
必ず快調になるのは分かっているんだけど
本当は
ナニが原因で不調になるのか知りたかったところです。
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