昨年夏にエンジン換装して
安全マージン取った暫定セッティングのままだったTYIZ号ですが
先日
ダイナパックで詳細セッティングを行ったんですが
結論から言うと
やっぱり絶好調にパワフルでダイナパックで300馬力超えました。
ダイナパックは
タイヤを外して車軸から直接出力計測するわけですが
エンジンから
クラッチ、ミッション、ドライブシャフト、
車重がかかった状態のハブベアリングなど駆動系を経由して出力が行われるため
実際のエンジン出力からこれらの駆動損失を差し引いた値が計測されます。
ローラー式シャーシダイナモでは
全開でレブリミットまで回した後
クラッチを切って速度が落ちてくる時間からロス馬力を算出し
これをタイヤからの計測馬力に加算することで
エンジン出力を推定していたわけですが
ダイナパックではタイヤなどの摩擦がないから計測値が正確な反面
ロス馬力計測が出来ないので
エンジン出力から駆動損失を引いた計測値で出力を語ることになります。
ちなみに
ローラー式シャーシダイナモで
フルノーマルのNA1・MT車を計測すると280馬力弱
NA2で約290馬力。
エキマニ&マフラー交換したNA1では300馬力ほど出るんですが
これをダイナパックで
シフトポジションは4速で計測すると最高出力は250馬力くらいになり
当然だけどギアなどの回転速度が上がれば損失も増えるので
5速で測ると計測値はもっと落ちます。
つまりは推定300馬力のNSXは
4速全開で
50馬力くらい駆動系がパワーロスしていると言うことになるわけで
NSXの場合
ダイナパックで4速計測した値に50馬力加算したのを
エンジンの最高出力イメージとして考えています。
推定だけど
ダイナパックで250馬力出ればエンジン出力は300馬力程だろうと。
上のグラフは
エキマニ&マフラー交換したノーマルC30A・NA1とTYIZ号の比較
TYIZ号は304馬力ほどでノーマルに対してその差50馬力以上で
新作C32Bのエンジン出力は推定350馬力強だと思われます。
比較グラフを見ても
ピークパワーで50馬力以上違うけど
3500rpmですでに20馬力以上違うんだから
中低速のパンチが大幅に向上しているのが分かる。
もっと驚きなのはトルクで
ノーマルC30Aが26キロに対してTYIZ号が32キロでその差は6キロ強
このトルクもミッションの駆動損失後の値だから
TYIZ号のエンジントルクは35キロを超えていると思われます
これも
3500rpm時にC30Aより5キロほどトルクが大きいんだから
そりゃあ
峠道の上りも高速巡航も快適なわけだ。
これが
エンジン慣らしドライブで
美ヶ原への登り峠で驚いた低速トルクの大きさを数値化したモノでしょうね。
ダイナパックのトルクカーブを見ると
共鳴チャンバーとVTEC切り替え時にトルクが変化するのが分かります
NSXのインテークマニホールドに仕込まれた共鳴チャンバーは
低回転時には閉じて吸気の共鳴過給を利用して低速トルクを稼ぎ
5000rpmでチャンバーが開いて高出力に対応する吸気管形状に変わります
TYIZ号のV・Pro制御は切り替えポイントも自在に変えられるんですが
今回のエンジン仕様では
共鳴チャンバー開きポイントはノーマルとほぼ同じくらいで
トルクの谷が出来ない様に微調整しています
C30Aは5000rpm手前で大きくトルクが落ち込んで
チャンバーが開いて再びトルクが向上するのが分かる
(大きくと言っても1キロくらいのダウンだけど
これを正確に計測できて可視化してしまうダイナパックはスゴイ)
そしてまた5500rpmを超えてくるとトルクが落ちてくるんだけど
5800rpmでVTECが高速側カムに切り替わるので再びトルクが上昇する。
TYIZ号のグラフで見られる高速カムに切り替わってからの
大きなトルク上昇がハイカムの効果なワケです
NSXのエンジンは
共鳴過給とVTECの2つのシステムを使って
低回転域のトルクと高回転時の出力を両立させているわけですが
排気量や圧縮比などエンジン本体のチューニングに加えて
拡大スロットルや排気系の変更などで変化してくる特性に対して
燃料噴射量と点火時期 様々な補正
共鳴チャンバーとVTECの切り替えタイミングなどを
トルクカーブを見ながら自在にセッティングで追い込めるのが
ダイナパック計測とV・Proセッティングの
大きなメリットと言うことなんです。
ちなみに
ダイナパックがこんなにもトルクカーブの計測が正確なのは
車軸のトルクを直接計測しているためで
だから100rpm刻みで細かくエンジントルクを計測できているわけです
パワーカーブは計測したトルクとエンジン回転数を掛けて馬力算出しています
慣性ローラー式シャーシダイナモは
重量物であるローラーを
回転上昇させる速度変化を計測し そこから仕事量のワット(出力)を計測し
これをエンジン回転数で割ってトルク値を推定する方式ですが
回転上昇過程で
タイヤやローラーの慣性があるからトルクの谷が埋まってしまうので
こんなに正確なトルクカーブは描けないんです
点火時期やチャンバー切り替えなどのセッティングする際には
エンジン回転数に対するトルク値の変化が知りたいので
ダイナパックは非常に適していて
トルク変動の少ない滑らかなカーブを作ることで
扱いやすくて速く
良く回るフィーリングを得ることが出来んです。
そんなわけで
TYIZ号の新作C32Bは低回転から非常にパワフルで良く回ります。
私的には
もう、自分のNSXのエンジンチューンはこれで十分だな。
と、感じています。
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