NSXのプラグ交換&IRIプラグ使用上の注意

NSXのプラグ交換は 特にリアバンクが狭いのでちょっと面倒。
形式としては各プラグに対してイグニッションコイル一体型のプラグキャップが付く
ダイレクトイグニッション。
このタイプは最近では珍しくはない
日産系は経年変化でコイルへのカプラーが硬化して取り外しの際
破損してしまうことが多かったのですが NSXは配線やカプラーが破損することが無いようです。
エンジンルームの通気性の良さでしょうか。

NSXに使われている標準プラグは PFR6G-11で 熱価は6番
これで問題ないのでしょうけれど、 日頃ターボチューンエンジンを見慣れているので
NAとは言え ライトチューン300ps近辺になってサーキット全開は少々不安になりました。
そこで使っているのは NGKのIRIWAY-7。
最近はやりの中心電極にイリジウムを使っている物。
イリジウムは融点が高いので 細い電極が作れるらしい。
理論的には電極は細い方が火花は安定して飛びやすくなる
そして細い方が熱膨張も少ない 故にガイシが割れにくい。
まあ、理論上はすごく良いプラグ。
実際 ターボエンジンのライトチューンによく使いますが
かぶりにくい、くすぶりにくい、着火性が良い、ガイシが割れない と良い結果が出ています。 

ところが、NSXに使うに当たって問題が生じていました。
以下にその問題と対策を記載します。

でも、NSXには純正オプションで熱価7番のPFR7G-11が設定されているんですよね。
普通はそれを使った方が問題はないかも知れません。


プラグを外すにはコイル一体型のユニットを外して プラグレンチでプラグを外す。
狭いけど まあ、手を動かせば終わる作業



これはリアバンク用のイグニッションコイルユニット
プラグキャップ一体型で 直接プラグに填る構造。
M6ネジ2本でシリンダーヘッドカバーに固定されている。


左がIRIWAY-7 右が純正PFR6G-11
共に、走行距離は1万数千q 両方ともまだまだ使える
IRIWAYの方が電極が細いのがわかる。



問題が発生した頭部電極 左がIRIWAY-7 右が純正
純正はターミナルが一体になっているのに対して、
IRIWAYは雄ねじにターミナルがねじ込んである
今回外したIRIWAYのターミナルが不自然に腐食していたので問題に気づきました。


断面を書くとこんな感じ。
コイル一体型のプラグキャップからコンタクトポイントが出ていて、
それがプラグのターミナルに接触して通電する構造なんだけど
IRIWAYはターミナルがねじ込みなので コンタクトポイントがネジに入ってしまい、
接触圧不足でターミナルが電蝕したようだ。


簡単な対策。
ネジ穴を埋めれば良いわけなので、M4ネジをねじ込んで
余った部分を切断 その後ベルトサンダーで平面にして完了。
これを6本とも行って 電極を掃除してプラグは再使用。


NSXではプラグ取り外しに苦労することはないと思いますが
燃焼温度の高いエンジンでは ネジ部のカーボンが焼き付いて
プラグのネジが外れずに苦労することがあります。
そこでお勧めは WAKOSのスレッドコンパインド。
スプレー式潤滑剤で おそらくは銅系の金属が含まれる。
これを使っておくと プラグを外すときがすごく楽になり、
エンジン側のネジも痛まない。
金属系の潤滑剤なので 当然電極に付着してはいけない。