こんにちは、TYIZです
去年から計画していた
純正クラッチ用の軽量フライホイルが完成しました。
NSXで目一杯のエンジンレスポンスを求めたら
やっぱり
OSで作ってもらった超軽量メタルツインクラッチしかないんだけど
やはり通常走行では純正クラッチの扱いやすさが一番だし
当然 容量不足で滑ることなんか無いし
ほとんどのお客さんは純正クラッチを使っています。
(まあ、それでも私はメタルクラッチが好きでOS使いますけど)
なぜ
純正クラッチと社外のクラッチセットで
あまりにもレスポンスが違うのか?
それは
フライホイルと共に回転している
センタープレートやクラッチカバーの重量差が大きいからで
純正は
複雑な構造のツインプレートクラッチであるが故に
フライホイルと共に回るカバーなどの回転体が重くて
どんなにフライホイルを軽くしても
トータル重量が重いから
シンプルな構造のOSツインのレスポンスには及ばないんです。
だけど
純正クラッチのまま出来る限りレスポンスを良くしたい・・と思うと
材質と熱処理で強度を上げつつ
フライホイルを可能な限り軽く作るしか無いわけです。
NSXの軽量フライホイルを作る上で難しい理由の1つが
このクラッチ特有の構造である
センタープレートのバネ&クサビ機構が入る3つの穴で
純正ツインプレートクラッチは
クラッチディスクの消耗に伴って摩擦板が移動して行く機構で
この突起をフライホイル側に納めるための穴が有り
そのため
フライホイルを薄く出来ない つまりは限界まで軽くするのが難しいんです。
そこで
穴の反対側を突起させたボス状にすればフライホイルを薄く作れるわけですが
円盤状の平面にボス状の突起を残して削り出すには
旋盤じゃなくマシニングセンターでの加工が必要になり
普通の円盤状フライホイルに比べると
大幅に製作難易度が上がるんですね。
耐摩擦と強度が必要なクラッチディスクが摩擦する部分はずっと内側だし
この穴の部分から外周のギアにかけては
大きな強度は不要で
外周ほど回転体としての慣性に大きく影響するから
出来る限り軽く作りたいので
どうせマシニングで加工するんだからと
エンドミルで大きな角穴を6個あけて肉抜きしました。
素材は普通のクロモリ材SCM435を熱処理して削り出し
加工後に表面と歯面硬度を上げるためタフトライド処理。
と、いうわけで
これが軽量化のほぼ限界です。
おそらくは
NSXの純正ツインクラッチ用として業界最軽量のフライホイルでしょう。
だけど
素材と加工でここまで頑張っても
レスポンスの面ではOSツインには及びません。
まあ
扱いにくさや不安定は全く感じずに
充分な体感レスポンスアップが得られるんだから
これは
普通にNSXを楽しむ方にはGoodな選択になると思います。
私がイメージするNSX用クラッチセットのレスポンスレベルを
純正からT3仕様超軽量OSツインまでを10段階にしたら
こんな感じです。
10.T3仕様 超軽量OSツインクラッチセット
9.
8.T3仕様 OSツインクラッチセット
7.
6.
5.T3製軽量フライホイル+純正クラッチ(今回作ったフライホイル)
4.一般的な軽量フライホイル+純正クラッチ
3.
2.
1.純正クラッチ
という様な感じで
純正クラッチに組み合わせるフライホイルを
ここまで薄肉穴開け軽量化しても
まだまだOSツインの過敏なレスポンスには及ばないし
扱いにくさも無く
このフィーリングに慣れてしまうと
最初からこのくらいの軽さで良いんじゃないかなぁ・・
という感じになり
これに慣れた状態でノーマルに乗ると
かったるいなぁ・・回転の落ちが悪いなぁ・・
と言うことになります。
完成したフライホイル
先日
お客さんのNSXに組んだんですが
作業した大久保が
「このフライホイル イイッすよ!」というので
どんな風に?と訊くと
「ビュンビュンですよ!」とのこと。
ナンだその形容は??と思って空吹かししてみると
なるほど
回転落ちが早くて気分が良い。
空吹かしでの回転の上がりは
V・Pro制御にしているNSXはもっと素早いけど
十分レスポンスアップが体感できて満足。
というか
全て予想通り。
定価は58000円になりました。
加工に拘った分 ちょっと高目になったけど
良い物が出来た感じです。
|