NSXに関して
ドライブシャフトは大きなウィークポイントです。
私もこのクルマを扱いはじめた頃
何故こんなにもドライブシャフトのトラブルが多いんだ?
と、疑問に思ったけど
まず、設計が古くて構造的にも良くない。
そして
伝えるトルクとサスペンション上下動の割にシャフトが短い。
これらの悪条件が重なって
ドライブシャフトのトラブルが多くなるのではなかろうか?
と、思ってます。
構造に関しては
インボード&アウトボードの中に
ベアリングが3個組まれたスパイダを差し込んで
シャフトを回転させる構造ですが
これだと
外筒であるイン&アウトボードとシャフトの回転は完全等速にはならず
タイヤは一定回転数で回っていても
シャフトの回転は僅かに加減速をしているんじゃ無いかと思う。
だから
ブーツには両者の回転差を吸収するために捻りが生じると思う。
もちろん
車高が適正でドライブシャフトが水平状態なら
両者の回転差は無いわけで
ブーツの負担も極めて少ないわけですが
車高を下げすぎていたり
急加速でリアが下がった状態では
ブーツには常に捻りが生じているので
老化が一気に進行するんだと思う。
一般的なFR車 たとえばシルビアなんかでは
ドライブシャフトのトラブルなんて滅多に起きない。
これは
デフが車輌のセンターにあって
左右後輪まで長いドライブシャフトで駆動を繋いでいるため
たとえば
後輪が上下に20センチ動いても
ドライブシャフトの揺動角度は少ないわけですが
横置きミッドシップのNSXでは
デフが大きく左に寄っていて
左右のドライブシャフト長さを揃えるために
右にハーフシャフトを入れているため
ドライブシャフトの長さが短いわけで
タイヤの上下動はドライブシャフトの揺動角度に大きく影響します。
この、悪条件が重なっていると
ブーツの寿命は極端に短くなるようです。
上のイラストはドライブシャフトの構造ですが
ベアリングが付くスパイダは
イン&アウトボード側で60度ずらして組みます。
これはもちろん
ミッション側とタイヤ側の回転数が等速回転する様にしているんですが
シャフトを分解して無造作に組んでしまうと
この、60度ずらしが出来ていない固体が時々あります。
ブーツの寿命に対する影響は分からないけど
組み間違いは多いです。
だいぶ前
栃木研究所でドライブシャフト設計をしている人に
「ホンダは
効率の良いFF用ドライブシャフトの技術を持っているのに
なぜNSXのドライブシャフトは
あんな構造なの?」と、訊いたことがありますが
曰く、
もう設計した人はホンダにいないし
今となってはナンセンスな構造だけど
当時の外国のスポーツカーの構造を真似たんじゃないか・・
とのことでした。
FFのドライブシャフトは
パワーを伝えながらステアするんだから
折れ曲がり角度はNSXの比では無いわけで
それでいて現在はFFで300馬力オーバーが出来ています。
もし仮に
シビックRのドライブシャフト構造をNSXに組み込めたら
遙かに伝達効率が良くて
トラブルを起こさないドライブシャフトが出来るかもしれない。
でも、ドライブシャフトを作るなんて言うのは
試作実験から安全性の確認などなど
大変な労力が必要なわけで
アフター業界でなんとか出来るものではなく
いま、このクルマに乗る我々としては
30年以上前
国産で前例が無かった
3リッタークラスのミッドシップ車輌を作る際に
苦肉の策で生み出したこの構造のドライブシャフトの設計思想を思って
老化したら整備の手を入れる・・と言う方法で
上手く付き合っていくことだと思います。
これは
様々なところに言えるわけで
トラブルが多いパワーウィンドウや
テールランプの変形浸水など
全て
構造的理由があって起きているトラブルだから
仲良く付き合っていくしか無い部分だと思いますね。
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