T3TECでインジェクターの洗浄装置を導入しました。
実はこの機材が届いたのはリフト増設よりも前で
2月には作業開始していたんだけど
忙しさと値上げパニックで
すっかり紹介しそびれていました。
経年老化したインジェクターは
意外に内部が汚れて性能にバラツキが出ているモノで
コレを洗浄する機材があるのは知っていたんですが
NSXに限って言えば
気になるならインジェクターを新品交換しちゃった方が確実だし
エンジンチューンも同時に考えるなら
S2000インジェクターに交換しちゃった方がいい・・
と思っていたんだけど
純正部品のインジェクターは
いつもメーカー在庫が不安定で(いまの時点で在庫ゼロ)
目詰まりが懸念されるから新品交換したい・・と思っても
いつでも6個新品が手に入るとは限らなくなってきて
やはり、噴射状態の確認と内部洗浄が出来る機材を導入するべきか。
と言うことになった次第です。
NSXも経年老化が進んで
燃料タンクの中が錆びた車輌があったりで
燃料フィルターを通り抜けた僅かな異物が
インジェクターの中に堆積していくから
噴射量が変わってきたり
キレイな噴射が出来なくなってきたりします
エンジンにガソリンを供給するインジェクターは
高圧(NSXは3.5キロほど)に加圧したガソリンを
電気信号でバルブを開閉することで
噴射と停止を繰り返す部品なんですが
4サイクルエンジンが8000rpm回ったら
1秒間に66回も噴射停止を繰り返すわけで
さらに負荷に応じて
噴射時間と停止時間がコンピュータで制御されているんだから
超高速レスポンスでガソリンの噴射をコントロールしているわけで
インジェクターに個体差が出来てくると
6気筒で燃料を供給する量に差が出てくるから
これが
エンジンの振動だったり回りの重さに繋がってきたりするそうです。
まあ、私は今まで
純正のインジェクターでそんなトラブルは経験したことが無いんだけど
チューニングパーツの大容量インジェクターでは
過去に色々不具合は見てきました。
だけど初期型NSXのインジェクターは昭和の時代の設計で
30年経過ですからね・・
走行距離も増えているなら
汚れが詰まっていても不思議じゃあ無いとは思う。
で、導入したのはasnu(アズニュー)というイギリスのメーカー製で
これがインジェクター清掃機では定番の製品みたい。
以前から雑誌などで噴射テストの状況を見たことがあるけど
なにか洗浄液みたいなモノを高圧噴射させて内部洗浄するのかな・・
と思っていたら
高圧噴射してるのはガソリンに近い粘度の石油系の液体で
これで噴射量と噴射状況を確認して
洗浄そのものは
超音波洗浄とアルカリ系水溶洗剤を使うんだそうだ。
で、手元にあった中古品のC30A用インジェクターをセットして
噴射テストを行ってみる。
これが
いろいろ設定が出来て面白い
イニシャルの燃料圧力を決めて
連続噴射以外にも超高速なパルス噴射とか
走行をシミュレーションした噴射とか出来て
6本セットして同じ信号で全てを動作させることで
どの程度の噴射量の差があるのかが分かるし
噴射がキレイな円錐形になっているかなどを目視で確認できる。
試したインジェクターは
テストモードで70ccほど噴射した時に誤差は3ccくらいだから
エンジンの1回当たりの燃焼に対しては
性能差が出ないレベルで誤差でしょうけれど
これが目視で確認できる意義は大きいな。
で、洗浄方法は・・というと
アルカリ洗剤が入った超音波洗浄機にインジェクターを入れて
動作パルスを通電してインジェクターを動かしてやる。
洗浄液の超音波振動とインジェクターの動作で内部を洗浄しようというわけだ。
すると
洗剤の中にインジェクターから白いモヤみたいなのが出て広がっていく・・
なるほど・・これが内部に堆積していた汚れなのか。
で、洗浄を終えたインジェクターを
再び噴射テストを行ってみると
確かに噴射方向のバラツキが減って噴射量の誤差も減ったな。
まあ、テストに使ったインジェクターは
それほどコンディションが悪くは無かったので
劇的な差は出なかったけれど
もっと汚れていたりすれば
洗浄前後の性能差は変わってくるんでしょうね。
だけどなによりも
インジェクターのコンディションが確認できるのが有り難いです
インジェクターの洗浄は
単体での作業依頼も受けるけれど
やはり、エンジン降ろしメンテナンスの時に行うのが
脱着の工賃がかからないから効率が良いですよね。
このマシン
工場のどこへ置こうかな・・と思ったんだけど
洗浄作業は出来るだけクリーンな環境が良いだろうから
3階現寸場の倉庫の中に設置することにしました。
ここなら
砂塵もないし良い環境で作業が出来ますからね。
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