こんにちは、TYIZです。
今までNSXのAT→MT換装は数十台こなしてきたけれど
左ハンドルのアキュラはMT換装したことが無かったんですよね。
今回
ATが滑ってトラブルを起こしたお客さんが
良い機会だからMT換装したい・・と言う相談があり
中古で5速ミッションを譲ってくれる方もいたので
初めての左ハンドルMT換装を行いました。
担当メカニックは大久保。
AT車とMT車でボディは同じだし
電気配線的にも
右ハンドルの時と同様に処理すれば行けるだろうと予想して着手したんですが
果たして
左ハンドル車は楽なのか大変なのか興味あった。
エンジン側の作業プロセスは右ハンドルとまったく同じ。
ATを降ろし
冷却水のラインを繋ぎ治し
トルクコンバーターを外してクラッチを取りつけて
マニュアルミッションを載せる。
で、運転席側で
ブレーキペダルをMT用に交換し、クラッチペダルを取りつけるんだけど
右ハンドル車だと
ステアリングコラムを外さないとブレーキペダルが交換出来ない。
だけどどうやら左ハンドルだと
コラムを外さなくてもブレーキペダルだけ取り外して交換出来るみたい。
そのかわり
クラッチペダルの取付が狭くてすごく大変・・
大久保は
運転席足下で宙返りしながらアクロバティックな姿勢でペダルを付けていた。。
ところで今回
左ハンドル用のクラッチペダルやシフトレバー周辺部品などを新品購入したんですが
クラッチペダルは生産ロットが90年(平成2年)と書いてあるので
ホントの初期型部品の在庫だったみたいです。
右ハンドル用の補修部品は
MT換装などでだいぶ使われたから順次新規製作ロットに変わっているけれど
左ハンドルでMT換装というのは
世界的に見ても例が少ないのかも知れないなぁ。
その、平成2年製のクラッチペダルは
未開封新品なのに
ペダル高さ位置を決めているゴム製のストッパーがボロボロだった。
防錆紙にくるまれてビニール袋に入れられて鈴鹿の倉庫で25年保管・・
まるでタイムカプセルだよね・・
何か保管に関して条件が悪かったのかもな
まあ、ストッパーだけ新品交換して対処。
ペダルが付いたあと
クラッチマスターシリンダーを取りつけて
油圧ラインを繋ぐんだけど
右ハンドル用に用意していたアールズのフィッティングが狭くて付かない・・
これまた
一苦労して取付て、油圧をクラッチマスターシリンダーまで導く。
どうやら
総合的に見るとMT換装は左ハンドルの方が大変ですね・・
コンピュータは
初期型NA1なら
国内仕様でもアキュラでも書き換え可能で
MT換装仕様にデータを書き換えて対処。
AT車では
PとNの時は無負荷だからMT車と同様のアイドリング制御で
RやDレンジに入れた時
トルクコンバーターの負荷がかかるのでアイドルアップしていて
エンジンがストールしない様にしています
MT換装に際して
ニュートラル状態のままになる配線をすると
アイドリングは正常だけど
空吹かしと判断されてVTECが切り替わらずレブリミットが7000rpmで入ります
配線をDレンジ仕様で接続すると
エンジンパワーは正常に出る様になるけど
トルクコンバーターの負荷が無いからアイドリングが高めで安定しなくなります。
だから
AT→MT換装ではメインコンピュータ書き換えで対応するわけです。
この、コンピュータの書き換えは工場長の担当なんだけど
ワイヤースロットルNSXのコンピュータって
大まかに
アキュラ、国内仕様、Type-Rの3種類あって
実はけっこう体感が異なる。
もちろん、Rが一番レスポンスが良くて加速も良好なんだけど
面白い話しなので
またこんどの機会に紹介しようと思います。
そんなわけで
アキュラのMT換装はほぼ完了
あと、タコメーターをMT用にすれば見た目もMT車になります。
ところで
NSXの右ハンドルと左ハンドルを乗り換えてみると
ペダルレイアウトの位置に違和感を感じるんですよね。
これは
ホイルベースに限度があるミッドシップスポーツモデルでは
ある程度仕方ないんだけど
フロントタイヤの位置が足元に接近してくるので
右ハンドルだとアクセルペダルが
左ハンドルだとクラッチペダルの設置位置が
ホイルハウスを避けるため車輌中心に寄るんです。
だから
ステアリングの中心に対してブレーキペダルの位置が
右ハンドルでは左に 左ハンドルでは右に寄っているので
左ハンドルのアキュラに乗ると
アクセルペダルが妙に右奥にある様に感じるわけです
上の写真
ボンネットを開けて
ブレーキマスターシリンダーとステアリングが見える様に撮ったんだけど
マスターシリンダーとステアリングのセンターはこれだけずれています。
実際には
ブレーキペダルレバーを左に曲げてオフセットしてあるから
両者の位置はここまでずれていないんですが
フロントのホイルハウスが
クラッチ&ブレーキマスターシリンダーのレイアウトに大きく影響しているんです。
そのため
左ハンドル車はクラッチのマスターシリンダー位置が非常に厳しく
アクセルペダルもダッシュボードのセンターに近くなるから
アクセルワイヤーの取り回しが厳しく、曲がりが増えて
長くて抵抗が大きいワイヤーを確実に巻き取るため
エンジンのスロットルリターンスプリングが強く
結果的にアクセルの操作が重くなる。
アクセル操作に関しては
後にDBW化されて改善したけど
アキュラに乗ると真っ先に思うのがアクセル操作の重さでした。
まあ、ドライバーが慣れちゃいますけどね。
あと
シフトレバー周辺のリンケージを見ると
シフト操作の「Hパターン」を左ハンドル車は右に振ってる。
1速に対して2速位置は手前で少し左になる。
メーカーがやるんだから理由はあるんでしょうけど
けっこうあからさまに斜めに見えます。
こうして
色々な違いを見ていると
NSXって
やっぱり、基準設計は右ハンドルなんだろうな・・と思う事が多いです。
日頃扱うのが右ハンドルが圧倒的だから偏見かも知れないけど・・
ちなみに
以前メーカーの人に聞いたことがあるんですが
現在、ステアリングとブレーキペダルのセンターのズレは
自主規制の数値があって
NSXみたいにズレているクルマはもう作れないんだそうです。
クラッチペダルが無い2ペダルならレイアウトの自由度が高いと思うけど
左ハンドルで3ペダル車は設計的に厳しいのかも知れない
特にホイルベースを短くしたいミッドシップでは。
さらに余談だけど
RX−7はフロントミッドシップで
エンジンがバルクヘッド側に大きく入り込んでくるから
ペダル類は外側(つまり右側)にオフセットされていました。
アクセルが大きく外側にずれるからNSXとは逆の方向にです。
駐車場で預かり車輌を移動する時など
NSXからFDに乗り換えてアクセル踏もうと無造作に右足を前に出すと
ブレーキペダル踏みそうになる。
逆の場合も然り けっこう怖い。
だから
アクセルブレーキの踏み間違いをクルマのせいにされたりしない様
メーカーは自主規制を作って
ブレーキとハンドルのセンターを合わせているのかも知れませんね。
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