こんにちは、TYIZです。
一時期 預かり車輌で満杯状態だったT3ファクトリーですが
盆休み前に出来るだけ納車しようと黙々頑張って
だいぶ屋内がスッキリした。
それでも、NSX11台とGTRが1台預かり。
車検などの軽作業で出入りは多々あるんだけど
だんだん
エンジンを降ろさなきゃならないようなヘビー作業がたまってきました。
先日
新潟から陸送で届いたNA1・MT車は
クランクプーリーのウェイトが外れてベルトカバーを削り
破片がタイミングベルトに巻き込まれて
ピストンとバルブが当たったトラブル。
実はこれ
高回転を回すサーキットユーザーにはけっこう多いパターンで
同じトラブルで
過去に何人かエンジンブローしています。
今回の事例では
一般道をそれほど高回転回さず普通に走っていたそうですが
走行中いきなりパワーダウンしてエンジンが止まってしまったそうです。
おそらく
すでにウェイトが外れてケースを破っていたんでしょうね・・
何かの拍子にケースの破片がタイミングベルトに巻き込まれたんでしょう。
NSXのクランクプーリーは
プーリーの内側に
ドーナツ型の鉄ウェイトがゴムで接着取り付けされているんですが
これが外れて暴れることがあるんです
この鉄のリング
何のために付いているのか
以前 メーカーの方に教えてもらったんですが
「タイミングベルト保護のため」だそうです。
C30Aを設計してテストしている時
特定回転数で
どうしてもタイミングベルトが共振して大きく振れる状態が起きたそうで
この共振を常用回転域から追い出すために
クランクプーリーにウェイトを取りつけたんだそうです。
チューニング業界では昔から
クランクプーリーは安易に社外品交換とか軽量化しない方が良いと言われていたけど
ウェイトが取りつけられている理由を知ると
安易にアルミで削って作るのも気が引ける・・
でも、タイミングベルトを守るはずのウェイトが外れて
今回みたいなエンジントラブルを起こすんじゃあ
存在理由が本末転倒だよな・・
サーキット走行みたいに
めまぐるしく回転数が上下する状況なら
ウェイトが無くても
ベルトの共振ポイントを瞬時に通過してしまって問題にならないのかも知れないけど
たとえば長時間の高速巡航などで
エンジン回転数一定でそれが共振回転数に一致してしまったら
ベルトは著しく寿命が短くなる事が予想できるわけです
実際問題
その、共振回転数と回転の幅ががどのくらいなのか?
通常走行していてその回転域を多用してしまう可能性があるのか?
これは分からないんだけど
ウェイトの存在理由を知ってしまうと
最善の対処法としては
クランクプーリーの定期交換しか無いか・・となるわけで
だから
エンジン降ろしメンテナンスでは
クランクプーリーは必須交換部品にしている次第です。
傾向として
高回転常用すると破損事例が多く
今までの経験事例は全てMT車でATでは起きていないようですが
構造は同じだし
もしウェイトが外れれば同様に大トラブルになるから
AT車でも重整備の際には交換するようにしています。
で、今回のNA1では
タイミングベルトが大幅にずれて
バルブとピストンが当たっているのが確定だったから
エンジンを降ろしてヘッドを外してみると
バルブは曲がっているけどガイドは無事で
ピストンも吸気側リセスにバルブと当たった跡があるけど
予想したよりは軽傷に見える。
ヘッドはOHすれば再使用可能で
ブロック側はそのまま組んでも問題なさそうに見えるんだけど
出来ればオーバーホールしたいところ。。
オーナーは
このまま普通に治すのもシャクだし
3.2リッターを作ろうかと検討中。
うん、過去に同様のトラブルを起こした方もC32B換装したなぁ・・
まあ、オーナーさえその気なら
完治とパワーアップが同時に得られるのでお勧めなんですけどね。
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