こんにちは、TYIZです
5月連休から1ヶ月ほど経ち
またファクトリーは満車に近くなりました。。
車検と軽作業が終わって
納車待ちの車輌もあるんだけど
エンジン関連の重作業がだいぶ増えました。
いま大久保がエンジン積んでるのは
エンジン降ろしメンテナンスのヘビーコースで
ヘッドのOHまで行ったNA1。
なかなか紹介Webを作っている時間が取れないんだけど
エンジン降ろしメンテナンスは
だいぶパターンが増えて
ミッションをOHしたりヘッドのOHを追加したり
より深いところまで整備の手を入れる依頼が増えています。
周期的に鳥取から入庫するSゼロが
ワイヤースロットル&V・Pro作業 と車検。
NSXに限らずなんだけど
電動スロットルって違和感があるんですよね。
DBWは
「アクセルペダルを踏んだ」という事をセンサーが検出して
信号をコンピュータに送り
コンピュータが
「エンジン側のモーターを駆動してスロットルを開ける」
という制御の流れなんだけど
実際には純正の制御だと
アクセルペダル操作とスロットルの動作は完全シンクロしていなくて
ドライバーが急にアクセルを開けても
スロットルはジワッと開く様な制御をしています。
これは主に
排気ガス浄化の効率向上のためで
エンジンは急加速の時に濃い混合気を欲しがるから
ラフなアクセルワークを行っても
ペダル操作に対してスロットルが緩慢に動く様な制御を行って
排気ガス浄化の効率をよくして
同様に
アクセルペダルを急に戻しても
スロットルはある程度開いたまま燃料カットで減速させることで
急激なエンジンブレーキにならないようにしています。
こうした制御は
ATのミニバンなら「滑らかで乗りやすい・・」と感じるけど
MTのスポーツカーでは
直結レスポンスこそ楽しみたいわけで
こうした制御の遅れが違和感に感じるわけです。
応答は遅れていても
アクセルを目一杯踏めばスロットル側は全開にはなるので
最高出力自体はちゃんと出ます。
でも、ワイヤー直結とはだいぶフィーリングが違うんです。
NSXは同じ基本設計で生産していた期間が長いので
初期型がワイヤースロットルから始まって
NA1の130型から電動スロットルのDBWになったのが本当に幸いで
メカニカル部分に関して
スロットルなどを純正部品を使って
ワイヤースロットルによる直結制御に出来るわけで
特にNA2に乗る常連のお客さんは
ほとんどワイヤースロットル化しています。
ワイヤースロットルは
メカニカルにペダルとスロットルが直結しているんだから
当然だけどレスポンスは最高で
応答の遅れはゼロです。
アクセルペダルもスロットルも初期型用ワイヤー制御に交換しちゃうから
エンジンの制御はV・Pro使って行う事になりますが
V・Proを使えば
燃料も点火も制御は自在なので
同時にハイカムとかインジェクター交換とかスロットルの拡大とか
パワーアップチューンも自在になってきます
今回のSゼロは
エンジン本体はノーマルのままで
軽量フライホイルに交換して
インジェクターはS2000用を使ったキットに交換し
ワイヤースロットルV・Pro制御にしました。
こうすると
走り出した瞬間からアクセルのツキが良くて
クルマがすごく軽くなった様に走ります。
スロットルはC30AもC32Bも
純正で口径は64ミリなんだけど
過去に色々検証してみて
この口径は280馬力ノーマルには実に適正値で
排気系チューンしてもC30Aではこの口径がベストで
C32Bだと直径2ミリ拡大して66ミリにすると10馬力くらい向上しました。
ハイカム組んで圧縮比上げて360馬力超えてきても66ミリでOKで
スロットルの口径は
これ以上大きくしてもパワー的なメリットが得られなかった。
以前
インフィニティの大口径スロットルを試したこともあったけど
スロットル口径が大きすぎると
アクセルの開け始めでパワーの出方が急激で
半分以上開けていくと
全開とのパワー差が無くなっていく。
スロットルは
エンジンの出力調整機構なんだから
エンジンが求めている吸気量に対して必要最小限の口径がベストになるんだと思う。
そうすることで
アクセル開度90%と100%で明確な出力差が得られるわけです。
こうした結果から考えてみると
スロットルの口径って 最大出力値では無く
エンジンの排気量(吸気量)に対して適正値があるのかも知れない。
なので
今回のSゼロも2ミリ拡大の66ミリ。
ちなみに
純正のマニホールドとスロットルをじっくり見ていると
いろいろメーカーの意図が分かって面白い。
スロットルとインテークマニホールドって
鉄板にゴムを焼き付けたインシュレーターを介して取りつけられているんですが
これ、何のためかと考えてみれば
まずは断熱 そして振動の伝わりを緩和するため・・かと思う。
シリンダーヘッドに取りつけられているインテークマニホールドは
かなり熱くなるわけで
更に何らかのトラブルでエンジンがオーバーヒートして
高温がスロットルに伝わったら
もしかしたらスロットルが閉じなくなる様なトラブルになるかも知れない。
この熱が伝わらない様に
スロットルもインジェクターもインマニに直付けしないんだと思う。
最近のクルマは
インマニが樹脂になったり断熱が考えられているのかも知れないけど
悪条件が重なると
アルミ製のNSXのインマニはけっこう熱くなるのかも知れない。
そして
インマニから断熱した上で
スロットルには高温のクーラントが流れる様になっている。
これはナゼかというと
逆にスロットルを暖めるため。
NSXのブローバイレイアウトだと
ヘッドカバーから出たブローバイガスは
エアクリーナーとスロットルの間のゴムジャバラに入って
スロットルを経由してエンジンに吸われていきますが
特に寒い日のエンジン始動直後
ピストンを吹き抜けた未燃焼ガスがシリンダー側に多量に出るわけですが
この吹き抜けたガス(ブローバイ)には多量の水分が含まれていて
これがスロットルに入ると
気流が速いので凍結してスロットル動作が悪化する可能性がある。
これがアイシングと言うヤツで
スロットルを暖めて凍結を防止するわけです。
スロットルのトラブルでもっとも怖いのは
開けたアクセルが閉じなくなることで
それらトラブルの可能性を無くすために
スロットルバルブを温度管理しているわけで
メーカーは過剰とも思えるくらい対策をしています。
NA2に純正ワイヤースロットルを移植した際には
当然
これらのスロットル温度管理部品は全て純正部品を組み込みます。
これなら
スロットルの温度管理にも配慮できるし
将来 クーラントホース交換などを行う際にも
純正部品が使えるわけです。
今回のSゼロでは
純正エアクリーナーボックスを使いました。
これも、過去に色々試したけれど
純正の吸気系は非常に優秀で
ボックスを外して社外のエアクリーナーにすると
体感で分かるくらい中低速トルクがダウンしますね。
おそらく
インテークマニホールドに仕込まれた共鳴チャンバーと
フェンダーの中にまで延長されている
吸気配管の長さには理由があるんでしょう。
過去に試したデータでは
ノーマル比で50馬力くらい上がって330馬力を超えてくると
純正のボックスは抵抗が大きくなってくる様で
吸気量がボトルネックになってきますが
その領域はC30Aハイコンプ&ハイカムか
C32Bでハイカムを組んだあたりからで
エンジンチューンが進むと
剥き出しのエアクリーナにしないとパワーが伸びなくなってくるので
TYIZ号でも低速トルクダウンを覚悟してエアクリーナ交換しています。
だから
エンジンがノーマルならエアクリーナーボックスは純正が最善で
今回のSゼロはエンジンノーマルだから
スロットルだけ拡大加工の66ミリにして
エアクリーナは純正を使います。
エアクリーナーは
ボックスを外して社外に交換している人も多いんだけど
やっぱり純正が偉いです。
特にAT車では
トルクダウンがもろに走行性能に効いてくるから
交換している車両は
戻せるなら純正に戻した方が良いですね。
AT→MT換装
T3を始めてMT換装は何台目だろう。。
今回は
中古の5速ミッションを使ったベーシックなパターン。
NSXのAT→MT換装もいろいろな検証データが揃ってきて
「MTドライブを楽しめれば!」というパターンから
「サーキットでの戦闘力が欲しい!」という仕様まで
最適な方法を選択できます。
今回のMT換装車は
MTドライブが楽しむベーシック仕様だけど
同時にパワステ制御を後期化したり
快適性向上を目指しました。
で、このNSX
フロントに無限のハーフカウルが組まれているんだけど
ちょうど入庫している赤鷲号も同じフロントで
しかも2台とも水戸ナンバー。
こりゃ珍しいこともあるもんだ・・
納車直前に2台並べてツーショット撮影
こんなチャンス
2度と無いかもなぁ。。
あ、ツーショットと言えば
Sゼロが2台入庫していたんだ。。
イモラオレンジは元papaさん号で
こちらはだいぶ前にワイヤースロットル化してあります。
そんなわけで
今日は割と時間がゆっくり流れているかな・・と思っていたら
エンジントラブルのAT車が積載車で運ばれてきた。
オーナーから話を聞くと
ホース破裂でオーバーヒート後
ホース交換したけどエンジン周辺からクーラントの漏れが止まらず
低速走行中にバシッと音がしてエンジン停止したそうです。。
これはものすごくイヤな予感・・
セルは回るけど当然エンジンはかからず
クランキングの音が軽すぎるから
これはやっぱりタイミングベルトのコマ飛びだろうな・・
と思って
コンプレッション計測してみると
6気筒とも全滅で 正常時の1割以下くらい。
それでも圧縮はゼロじゃないから
タイミングベルトは駆動されているんだろうけど
漏れたクーラントでタイミングベルトが滑って
5コマくらいズレてバルブとピストンが当たったんだろうなぁ・・
これはもお、エンジン降ろしヘッドOH決定か・・
ヘッドの熱変形が無ければ良いんだけど。
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