今年は平成3年車の車検の当たり年
5月6月は
毎週数台のNSXを陸事へ持ち込む日々でした。
メカニックが24ヶ月点検の整備をしてくれて
それを私が運転して陸事へ・・と言うパターンなんだけど
ある時乗ったNSXのエンジンが
妙に調子が良い・・
こりゃあなんだかスゲぇな・・
パワフル・・と言うわけじゃ無いんだけどスッゴく滑らかに回る。
陸事からの帰り道
よく観察しながら乗ってみると
交差点を曲がってアクセルを入れた時のトルク感などは
普通にC30Aなんだけど
アクセル一定で流していて少し追加加速した時・・とか
なんとも言えない滑らかさで
「こりゃあ普通じゃ無い このエンジンは一体何だ?」
と、思って
T3ファクトリーに戻ってすぐに工場長に訊いてみる。
「ああ、去年OHしたエンジンだよね。」
と、言われて思い出した。
ああ、そうだった
去年 エンジン降ろしメンテナンスで受け入れて
ヘッドのOHを行うためにシリンダーからヘッドを外してみたら
何か噛み込んだのかシリンダーとピストンが傷だらけ。
こんな状態で圧縮は落ちても普通に回ってはいたんだけど
これを見ちゃったら修理するしか無いと言うことで
0.5ミリオーバーサイズのピストンを使って
シリンダーはボーリングして
コンロッドは純正を加工して
ピストン重量が変わるからクランクはバランス取りを行って
フルOHしたエンジンだったんだ。。
正常動作を確認して
慣らし運転のために納車してしまったから
私もこのフィールを知らなかった。
去年の2月に作業した写真があったのでアップします
こんな感じで
ピストンもシリンダーもガリガリ傷だらけだったんだけど
これを
丁寧にオーバーホールしたわけでした。
実は
2年前にTYIZ号に積んだ いまのチューンドC32Bが
負荷が軽い領域で良く似たフィーリングなんです。
全開してしまうとパワフル感しか感じないんだけど
穏やかに流している時と少し加速した時
なんとも言えない調和が取れた様な滑らかさ。
6気筒が同じ燃焼状態でトルクを出してる・・と言う様な感じ。
これが
ピストンの軽量化とクランクバランスの効果なのかは分からないけど
たくさんのNSXに乗る機会がある自分が
変化に感心するんだからホンモノなんでしょう。
戸田レーシングで作ってもらった
T3オリジナルの鍛造ピストンは
C30A、C32B共に純正より少し軽くて
圧縮比は純正と同じ
スカートの長さも純正と同じにして
中低速トルクとメカノイズの低減を狙ったんだけど
6個のピストン重量差が1グラム近辺だったり
機械加工だからピストン形状も誤差が無かったり
やっぱり
レース屋さんの部品はすごいのか・・
ちなみに
ボーリングもクランクバランスも戸田レーシングです。
正直言って
いままで、クランクのバランスとか
体感できる大きな効果は無いでしょう・・と思っていたんだけど
負荷が軽い領域で
こういう滑らかさに影響するのかもしれない。
全開してしまうとその差はほとんど分からない。
だけどたぶん
限界ギリギリまで高回転回すレースエンジンでは
耐久性などに影響してくるのかと思う。
昔話だけど
谷田部で最高速やってた時代
某ショップのL型6気筒エンジンが
走行数日前にトラブって
急きょエンジン修理したんだけど
部品が無かったのか1気筒違うピストンを入れて走らせたら
それが好記録を出した事があったそうです
1個違うピストン組んだりすれば
バランスなんかメタメタだったでしょう。
でも、パワーは十分出たわけです。
ピストン軽量化してクランクバランスを追い込んでも
出力は変わらないと思う。
でも、こうしてフィーリングは違うんだね。
納車時にオーナーさんに
「整備後 エンジンの違い 分かります?」と訊いてみたら
「絶好調です!」とのことでした。
まあ、他のNSXと比較してみて分かる微妙な滑らかさだから
自分のNSXしか乗らなかったら
「絶好調!」としか言えないかもしれませんねぇ。
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