NSXに採用されているパワステは
ホンダ初の電動パワステでした。
全年式のAT車と
MT車は110型からオプション選択になっているので
実はパワステ装着車輌って多いんです。
で、この電動パワステで恐ろしいのが
ラックブーツが破れたことによる内部への浸水・・
今回 浸水トラブルに遭ったオーナーさんは
初期型AT車で もちろんパワステ付き。
ある日
動かそうと思ってハンドル回したらEPS警告灯が点いてパワステが効かなくて
ホンダディーラーに預けたらしいんだけど
原因不明で返されて
1週間ほど経って引き取ったときには
ハンドルを回す操作に違和感を感じたとのことで
点検のため入庫してきました。
それを聞いてイヤな予感はしたんだけど
パワステのエラーコードを調べると22番でパワー系統のエラー
停車状態でハンドル回してみるとゴロゴロと周期的な違和感振動・・
予感は確信に変わりつつで
ハンドル左に切って右タイヤの後部からラックブーツを探ってみると
ブーツがパックリと割れている・・ これで確信
パワステ内部への浸水だな。
ディーラーでラックブーツの破れに気づかなかったのかなぁ・・
モーター内蔵ラックユニットの電動パワステにとって
浸水は致命的で
モーターが錆びて固着すると
ハンドルが回らなくなるんです。
当然これは非常に危険で
お客さんに説明してそのまま入院。
パワステギアボックスは構成部品が単品販売されていないから
対処法はラックAssy交換しか無いんだけど、
困ったことに
前期のパワステギアボックスは絶版でメーカー在庫も無くて
正攻法では修理不能な状態です。
いっそ
在庫がある後期パワステギアボックスと後期パワステコンピュータを買って
パワステを後期仕様にしてしまえば最善なんだけど
パワステコンピュータは初期型も後期型も絶版なんだよね・・
今回
幸いなのは浸水したパワステのトルクセンサー系統は生きているので
イレギュラーな方法だけど
新品で後期パワステラックを購入して
トルクセンサーピニオンを 前期パワステから移植して使うことにしました。
パワステギアボックスの前期後期では
トルクセンサー部分が異なるだけで
モーターやラック関連は同じだからこんな裏技が使えます。
外した新品の後期トルクセンサーピニオンがすごく勿体ないけど
いつか
後期パワステコンピュータが再販されたら
それを購入してトルクセンサーも後期にすれば
フル後期パワステになるので
それまではオーナーに持っていてもらうことにします。
この
パワステギアボックス内部への浸水ですが
私がNSXと付き合うようになってから10台以上遭遇しました。
とにかく
NSXの電動パワステは
ギアボックスの中に直流モーターを持っているから
水が入ったら全損なんです。
そして
水の侵入を防いでくれているのは
ラック両端のゴムブーツだけが頼りだから
ブーツが破れたまま 大雨の中走ったり
水たまりに飛び込んだりすると
ラックの中に水が入ってモーターが錆びます。
上の写真の最後の1枚は今回のパワステじゃあ無いけれど
こんな感じに
モーターのアーマチュアが錆びて
マグネットに触れて抵抗が大きくなるから
ハンドルを回したときにゴリゴリ違和感になって
そのまま何日も放置して錆びてモーターがロックすれば
ハンドルも回転しなくなるので
極めて危険なわけです。
だから
あのままお客さんを帰したら
翌週にはハンドル回らなくて身動き出来なくなる可能性が高く
緊急入院の判断にした次第ですが
実はかなり危なかった。
水に弱い電気製品だけど路面に近いところにあって
ゴムブーツで浸水を防いでいるという構造だから
この、ブーツはかなり重要なんです。
車検で入庫してきたパワステ付きNSXだったとしても
なかなか
破れていないブーツを交換推奨するのも言いにくいんですが
新車時から一度もブーツ交換していない車輌だったら
30年以上経過しているわけで
今回みたいにパワステギアボックスが大ダメージで
交換を迫られる事になりかねないから
定期的なブーツ交換を推奨していくしか無いかな・・と感じました
走行距離にもよるけど
5年ごとくらいに交換していれば一安心な気がするんですよね。
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