こんにちは、TYIZです
だいぶ前に依頼されて
本国発注していたブレンボブレーキキットが届いたので組込。
現在
モデナキャリパーがほとんど流通していない状態で
NSX用として入手できるのは
ブレンボ社がキット化しているグランツーリスモキットくらいなんです。
このキットに使われているのは
俗称「ロータスキャリパー」というもので
モデナ用より若干小さいんですよね。
もちろんNSX純正に比べれば著しく大容量なんだけど。
ブレンボに限らず
大容量ブレーキに換装すると
前後バランスがメチャメチャになっちゃうので
これを変更調整するのが
ブレーキバランサー 調整式Pバルブです。
Pバルブ(プロポーショニングバルブ)とは
ブレーキペダルを踏んだ時にリアブレーキへの油圧を落とす装置で
ペダル踏力に応じて一定傾斜で油圧を落とすので
プロポーショニング(比例)というのかな。
急ブレーキを踏むと
大きくフロントに荷重は移動するからリアがロックしやすくなるので
リアブレーキへの油圧を下げる目的です
ところが
著しく大きなブレーキに換装すると
純正Pバルブのままではリアの油圧が低すぎて
フロント効き過ぎ・・に陥ります。
これが
「NSXにブレンボキットを組むと乗りにくい」
と言われる理由なんです
(これ以外にもマスターシリンダーの容量問題もあるんだけど)
だから
リア油圧を変更できるPバルブに変更すればいいわけだけど
ABSを生かしたままPバルブを交換しようとすると
リア左右油圧を平行して制御できる調整式バルブが必要になるわけですが
そんなPバルブは
APレーシング製しか見当たらないんです。
で、ブレンボキットを組んで
純正のPバルブを外して調整式バルブに換装
配管とブラケットはNSX用に作りました。
ところがこのAPレーシングのPバルブ
まず、入手が困難
日本の代理店からも手に入ると思うんだけど
とにかく高い。
なのでイギリスから直接送ってもらって入手
さらにこのバルブ
純粋なレース用らしく
耐久性に大問題があるんです。
症状は
長期間使っていると調整レバー根本から
ブレーキフルードが滲んでくると言う恐ろしいモノで
なぜこうなるのか
だいぶ前から自分の車輌で原因調査と対策を考えていたんだけど
どうやら何とかなりそうで
今回からお客さんの車輌でも対処を行ってみることにしました。
結果が出るには時間がかかると思うけど。
このバルブと前後大容量ブレーキを組んだNSXは
街乗り速度でも非常に扱いやすく
高速域では圧倒的な減速性能を発揮してくれます。
もう1台
こちらは定番のNA2ブレーキ組込。
実は
通常走行ならNA2ブレーキが最もバランスが良いと思うんですよね。
さすが
メーカーが設定した前後バランスで
初期型NA1ブレーキは減速時に前のめりになるけど
NA2は前後均等にグッと沈み込む様な好姿勢で減速します。
ブレーキは
まずは求める速度域で容量を選択します。
速度が低ければ
ノーマルブレーキパッドだってタイヤがロックするわけで
速度が上がるとフルブレーキしてもロックしなくなる。
だから摩擦係数が高いパッドを使って効きを強くする
それでもさらに速度が上がると・・
あるいはタイヤのグリップ力が上がるとブレーキ容量が負けてくる。
それと
サーキットみたいに連続的にブレーキを酷使すると
熱と強烈な摩擦による影響でローターやパッドが著しく消耗する
そうなってきた時に
さらに大容量のブレーキを検討することになるんです。
まあ、大容量ブレーキは
実際乗ってみると
圧倒的な安心感があるし
ホイルをインチアップしていたりすれば
やっぱり大口径のブレーキローターは見た目もカッコイイし
実性能だけじゃ無いんですよね。
それが
効き過ぎて乗りにくくなるとかデメリットが出ちゃうんじゃNGだから
圧倒的な減速性能と扱いやすさを併せ持つ仕様が理想なんです。
遠くない将来
NSX用の大容量ブレーキキットも製作してみたいと思っているんですよね。
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