NSXのメーター修理は
毎週1〜2台くらいのペースで依頼があって
直接T3ファクトリーに来てくれる方もいれば
ホンダディーラーや中古車屋さんからの依頼
メーター修理専業の業者さんからも依頼があったりします。
いままで800台以上も治してきたから
経年老化による自然故障はほとんど経験したし
出火で焼けちゃったりすると修理にかなり苦労するけど
定番の故障なら
経験値から原因を予測して部品交換して修理・・
と、言う流れが素早く出来るようになりました。
修理の際
いろいろ機材を使うけど
コンデンサーの容量を測ったりするのに
安価な
マルチファンクションテスターTC1というのを使っていたんですが
Youtubeで紹介されてた
小型のマルチテスターDSO-TC3を買ってみてちょっと感動・・という話。
メーター修理で多いパターンは
ブレーキ球切れ警告灯の常時点灯で
次いで 表示速度と実速度が大きくズレてきた・・
そして時々あるのが
タコ&スピードのどちらかが動かない。
と、言うモノ。
どれも
最初の原因は電解コンデンサーの液漏れなんだけど
液漏れから基板腐食が進行して断線するか
腐食部分が湿気を吸ってショート状態になって過電流が流れて
他の部品を壊していくか・・
当然
コンデンサーを替えただけじゃあ治らないから
周辺部品も整備の手を入れるんだけど
たとえばタコメーターが動かない場合
何が原因でどの部品が壊れたのか・・を探ることになるわけで
いままで
経験値と目視チェックから予想できる部品を当てずっぽに交換し
その都度動作テストをして
治ったなら この部品が原因だったか・・となって
それがさらに経験値として積み上がっていく・・
と、言う流れを積み重ねてきたんだけど
トランジスタって
簡単に良否判定が出来なかったんですよね。
寿命が短い電解コンデンサーは全て交換しちゃうとして
周辺のフィルコンの判定には
だいぶ前から
TC1というマルチテスターを使っていました。
そしてYoutubeでDSO-TC3というテスターを紹介していて
コンデンサや抵抗などの基本的な部品の計測は全て出来て
トランジスタなどの計測も出来ると言うことで
これは使えるかも・・とamazonで購入。
買ったきりしばらく放置してあったんだけど
今回タコメーター不動の修理依頼が来て
原因はどこだろうなぁ・・と
まずは電解コンデンサーを外して腐食が進んだ基板を磨き
ツェナーダイオードかトランジスタ
どちらかが壊れてるんだと思うけど
壊れた部品が何なのか特定したいなぁ・・と思い
外したトランジスタをDSO-TC3で計測してみると
ダイオードと判定される・・
??と思い
新品トランジスタを計測すればちゃんとトランジスタと判定されて
スペックまで表示される。
トランジスタって
エミッタ、コレクタ、ベースの3本足なんだけど
外したトランジスタは
エミッタが失われているので
コレクタとベース間をダイオードと判定されたわけか・・
つまりこれは壊れてる。
当然
基板側にこのトランジスタが壊れた理由があるわけで
それを治して
トランジスタを新品交換して動作確認したら
タコメータ動作は正常になってくれました。
うん、DSO-TC3スゴいかも。
いままでも予測から部品交換でメーター修理は出来ていたんだけど
壊れてる部品の状況が分かるのがすごく安心感。
あと
メーター基板には定電圧を得るため
ツェナーダイオードが複数使われていて
これも
基板腐食に伴って壊れるんだけど
ツェナーダイオードは電圧スペックが書いてないから判定が難しく
実測値から判断して交換していたんですが
単品でツェナーの電圧も計測できる!
計測器としてはオシロスコープモードがあって
信号発信のオシレータモードまである。
だけど惜しいのは
DSO-TC3の内蔵バッテリー電圧が3.7V位らしく
電圧は3.3Vまでしか出力できないから
部品の計測にはこれ以上の電圧をかけることが出来ないのと
NSXのタコ&スピードを動かすため必要なパルス電圧6V近辺に届かず
メーターを直接動かすことは出来ない。
それでも
こんな安価で小型簡単なテスターで
ここまでのことが出来るんだから素晴らしい。
マンネリ化していたメーター修理が少し楽しくなった。
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