OS技研様のご厚意と 私のわがままで
さらに踏力が軽くて操作性の良いクラッチを求めて試作品を作っていただきました。
今回の試作品は
クラッチディスクASSY&フライホイールはそのままで、
これを圧着しているクラッチカバーの圧着力を下げてみよう と言う物。
クラッチの動力伝達力は クラッチディスクの有効面積と摩擦係数
及びそれらを圧着させているクラッチカバーの圧着力で決まると思いますが、
圧着力を上げると 当然クラッチを切るためにペダルを足で踏む力(踏力)は増えます。
前回の対策 延長レリーズフォークは
クラッチカバーの圧着力は変えずに、カバーを押すレバー比を変更することで踏力を軽くしましたが、
今回は カバーの圧着力そのものを弱くしてみました。
圧着が弱くなれば当然伝達トルクも下がりますが
本来 このクラッチのスペックは500PSオーバーのターボチューンで使えるレベルなので、
NSXの300PSでは問題ないのでは無かろうか? と言うのが試作のきっかけです。
具体的には 標準品の圧着力は1100s
今回の試作品は 約650s
クラッチカバーのダイヤフラムスプリングは 2枚から1枚に変更されました。
クラッチカバーの材質は、NSX用標準品はアルミ削りだしですが、
試作であるが故 昔ながらのスチールプレスカバーです。
見た目はアルミの方が偉そうだけど 性能的には古くから完成されている物
これにダイヤフラムスプリングを1枚組み込んであります
組み込んだ結果は 掲示板にも書き込みましたが
踏力はものすごく軽くなりました。
具体的には NA1クーペノーマルよりも軽い!
NA2のシングルプレートクラッチとほぼ同等レベルです。
それでいて、レスポンス&メタルらしいしっかりした繋がりは健在で
非常に満足しています。
このまま走行テストを行いながら メーカーと今後の経過を見守ります。
これは、今まで使っていたクラッチASSY
ディスク等は再使用しました。
今回組み込む主要部品
スチール製クラッチカバーとカバーの寸法が異なるため
プレッシャープレートとガイドが対応部品に交換されます。
もし、今後この商品がラインナップされたら
現行のOSツインクラッチユーザーは
これだけ交換すれば踏力の軽い仕様になるわけですね。
クラッチカバー比較 左が今回使ったスチール製。
この写真では分かりませんが、ダイヤフラムスプリングは1枚に変更
下の写真で分かりますが
左が昔からあるCタイプクラッチカバー 右は新設計のRタイプクラッチカバー
ダイヤフラムの外径が大きく違う。 圧着力が同じであれば
プレッシャープレートへの接触位置と、レリーズベアリングの接触位置の関係で
テコ比から言えば本来新型のRタイプの方が踏力は軽くなる。
でも、今回は圧着力が下がっているので 踏力は大幅に軽くなった。
クラッチディスク、センタープレート等が入るガイドを交換
これは、クラッチカバーの変更に伴って
ダイヤフラム高さと、カバー取り付け関係から交換が必要。
右が今回同時にテスト開始した 試作センターハブ
スプリングダンパーが内蔵されているタイプで
ミートした瞬間の ミッションへの負担を軽減する。
また、街乗りでの発進時にクラッチが扱いやすくなります。
サーキット等の高回転常用であれば
今まで使っていたソリッドタイプ(左)の方がフィーリングが良いと思う。
フライホイールをエンジンに取り付けて
クラッチディスクを組み込む。
エンジンとクラッチのセンターを出す。
これはHONDA純正のSST クラッチセンター出しツール。
このあとは、いつも通りミッションを載せて完了。
その後
ダンパー付きセンターハブは半年ほどテストしましたが、
フィーリングの点で芳しくないため 元のソリッドタイプに戻しました。
NSXのミッションはシンクロ容量が少ないため
メインドライブシャフトと共に回転する物体が重いと
走行中クラッチは切れていても ギアが入らない現象が起きます。
この点はディスク重量が限りなく軽い方に分があるため
この後 より小径のディスクを使ったBタイプツインクラッチのテストに入りました。
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