ドライブシャフトOH

NSXのトラブルで比較的多いのがドライブシャフトからの異音とグリス飛散。
このトラブルは後輪駆動の国産車では珍しく、
他のFR車ではNSXほど例がありません。
低速トルクが強力故に負担が大きいのか、
容量等の問題なのか。

駐車場で前進後退等を繰り返す際、クラッチミーとした瞬間
あるいは走行中 コトコト音がするNSXは意外に多く、
中古で購入したため オーナーも正常な状態を知らない場合があるようです。
また、ブーツが破れていないのにグリスが飛散している症状は
初期型のNSXでは80%位の確率で発生しているようです。
即トラブルにはならないけれど、
3年式近辺では内部のグリスは10年ほど経過しているため
こういった油脂類も定期交換した方が良いと思われます。

ブーツを新品にして、グリスを詰め直すと
またしばらくは安心して乗ることが出来ます。



まずは、シャフトを外すため
センターナットを緩めて取り外す。


ロアアームをメンバーから外して
ミッションからドライブシャフトを抜く。


取り外した左右のドライブシャフト。
左側はミッションに直接取り付けられているけれど
右側は分割式になっているため 形状が異なる。
左右のシャフト長を合わせるためだと思われます。


ブーツはカッターで切り込みを入れて取り外す。


内部に充填されたグリスはかなり変色している。
これを分解して洗い油で洗浄する。


新品のブーツをシャフトに通して


等速ジョイント部を組み立てる。
この3本のシャフトにベアリングの入ったローラーが付く。
組み立ては方向があるので ちょっとコツがいる。


ローラーにグリスが十分馴染むように詰め込んで組み立てる。

写真を撮っていないけれど、
NSXのドライブシャフトは 抜け防止にリングが使われていたり、
内部にスプリングが組まれていたりして巧妙な作り。
古いグリスを完全に洗浄して乾燥させて、
ブーツキットに付属している専用グリスを充填する。
新品グリスはきれいなクリーム色。
いままで入っていた物は種類が違うのかも知れないけれど、
元々はこの色だったとしたらちょっと凄い変色だ。


元通り車輌に組み込んで、
センターナットを締めて完了。
ナットはブーツキットに付属していて、分解時新品に交換。


これはパーツリストにあるドライブシャフトのページ。
なにげに部品点数は多いことがわかる。
日頃 大きなトルクを伝達しつつ、
滅多にメンテナンスしない場所故にトラブルが出るのかも知れない。
出来ればグリス交換だけでも良いので
定期的にOHすれば長期間ガタが出ずに使えると思います。。
ちなみに、NSXは4カ所ブーツがあるけれど、
同じ物を4個使っている。


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