Type-R用クラッチペダルに交換


クラッチペダルのストロークはダンパー外しの所で書いたように
油圧がダンパーに蓄えられる事で本来のクラッチレリーズストロークよりも大きくなっている。
従って クラッチが切れる、半クラッチ、完全ミートの余分なストロークは
ダンパー外しによって解消するけれど
本来 ダンパー対応であったペダルストロークは
そのままでは不要なストロークとして存在するため
ペダルのストップ位置調整でペダル位置を下げて対策していた。
これでも動作&使用上問題はないけれど、
さらに最適な位置を探そうとすると調整範囲が無いため不可能だった。
そこで、ペダルもR仕様に変更。

当然ながら R仕様のペダルは
ペダル高さがフロアに寄るため ダンパーを解除していないと
クラッチが切れないトラブルが発生する可能性がる。
この作業は ダンパー解除を前提に行う事が必要。


これは クラッチペダルユニットが車輌に取り付けてある状態
バルクヘッド側にナット2個 真上にボルト1本で固定されている。


取り外したクラッチペダル&ブラケットAssy。
このAssyで取り外せば 比較的簡単に脱着可能。
左に見える金色の物がクラッチスイッチ。
このクラッチスイッチがペダルのストップ位置を決めるストッパーも兼ねている。

この構造
実はけっこう考えられていると思う。
クルマによっては 重いクラッチを組んだとき
ブラケットとボディを止めているボルトに負荷がかかり
ボディ側が破損する場合がある。
しかし、このブラケットはペダル踏力が
真っ直ぐマスターシリンダを押す様になっており
取り付け位置にかかる負担は最小になるように設計されている。
だから 取り付けはたったの3カ所しか止まっていないんだろう。
ちなみに、バルクヘッド側がM8ナット2個 真上がなんとM6ボルト1本。
普通のクルマに比べると
非常に頼りなく思ったけれど やっぱり良くできている。
ちなみに、ブラケット&ペダルはアルミではなく鉄。


ブラケットからペダルを取り外して
Type-Rペダルと比較してみる。
右がRペダル。目視で踏み位置が違う。


ノーマルとType-R用を重ねたところ。
支点作用点リターンスプリング位置とも共通。
踏み位置のみ20oほどフロアに近づいている。
違いは単にこれだけだ。


ブラケットへのペダル組み込みは簡単だけれど
リターンスプリングが強いので ブラケットをバイスにくわえて作業。


リターンスプリングの構造。
踏む前はペダルが手前に来るようにリターンスプリングとして作用し
踏んでいくと あるポイントで反転して
ペダルを踏む方向にアシストする力に変わる。
ほとんどどんなクルマも同じような構造だが、
節度のあるペダルフィーリングを得るためだろう。

ちなみに、
ブラケットに見えるナットが支点。その下の金色の金具がマスターを押す作用点。
ペダルの踏み位置はずっと下だけど、支点を中心にペダルが揺動運動する。
支点とブラケットのスプリング取り付け位置と
ペダルのスプリング取り付け位置(白いプラスチック)が
一直線に並んだ位置が反転ポイント。
ペダルが30度ほど動いた位置だろうか。
ここを境に スプリングはペダルを踏む方向にアシストする。

ノーマルペダルでクラッチダンパーを外した場合
クラッチスイッチを調整してペダル位置をフロアに寄せて
ほぼType-R用の基準ペダル高さまで調整が可能だけど、
この、リターンスプリングの反転ポイントに近づくため
ペダルの踏み初めが軽くなり、節度感が変化する。
《このコーナーの一番上の写真でブラケットが車輌に取り付け状態が有るけれど》
《ここで見えるクラッチスイッチの位置が目一杯追い込んでペダルを下げてある》
《クラッチペダルの位置はブレーキペダルよりも少し低い位置で ほぼType-Rの標準値》

ダンパーを外した際 ノーマルペダルの調整でも問題なく使用はできるけど
ペダルを交換することでフィーリングは非常に向上する。
また、ペダルを下げると 左足をフットレストからクラッチペダルに移す際
足を上げる量が減るので これもフィーリングと操作性の点で向上する。

クラッチペダルの部品番号は 46910-SL0-J00 定価\6400('01.07現在)
交換作業時間は 慣れれば約1時間ほど。






これは Type-R用クラッチペダルの調整要領。
クラッチが切れるポイントは
プッシュロッドの長さで調整して ペダル高さはクラッチスイッチで調整する。
標準値を大きく超えて使う場合には注意が必要。



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