(注)このページは 約3MBあります。
いままでNSXのLSD&ファイナルと言えば
Type-R用が定番でしたが、
OS技研からLSDと4.4のファイナルギアセットが発売されました。
対応車種は 5MT&6MTで、両車ともファイナル4.4のセットと
ファイナルはノーマル4.06のままLSDのみ機械式になるセットがあります。
そして、私がC32Bエンジンと共に入手した6速ミッション。
エンジン換装に伴い 当然この6MTを組むわけですが、
加速仕様のファイナルと、機械式のLSDのセットが発売されたため
これを組み込むことにしました。
これを4.4にする事で 加速力が大きく向上します。
さらに、純正のLSDは シム調整で強化してもロック率が低く
内輪ホイルスピンが発生するため 機械式LSDが欲しいところでした。
セット価格で 約25万円と、NSX用のLSDとしては安価なため
装着を検討している方も多いようです。
このページでは
ほぼ同時に行ったお客さんの5MTへの組み込みも合わせて掲載します。
入手したNA2用 6速ミッション。
これは、NA2−110型用のミッションなので
1.2.3.4速がダブルコーンシンクロのモデル。
120型からは5.6速もダブルになっているそうです。
これが 6MT用 OSファイナル&LSDキット
セット内容は カウンターシャフト、オイルポンプギア
LSDと組み込まれたファイナルドリブンギア の3点。
5MT用だとカウンターシャフトが異なるだけでLSDとオイルポンプギアは共通。
これは私が6MTに組んだLSDで
カム角50度 リターンスプリング452s ディスク10セット
イニシャルトルク14s/m
こちらはお客さんの5MTに組んだLSDで
カム角45度 リターンスプリング376s ディスク12セット
イニシャルトルク12s/m
こちらの方が進化形で カム角を穏やかにして効き始めを20%ほど落として
代わりにディスク枚数を2セット増やして12セットになったタイプ。
今後はこちらが主流になるようです。
注文時に 用途によってディスク枚数とカム角イニシャルトルク等が選択可能
まずはミッション分解
シーリングナットを外して
スナップリングを開くと カウンターシャフトが外れてケースがフリーになる。
ケースを固定しているボルトを外して
ミッションケースとクラッチケースを分離する。
これは6速ミッション。
メイン&カウンターシャフトを取り出す。
当然だけど 6速ある。
一番左が増設された6速ギア。
同時に外したシフトフォーク&リバースギアASSY
これは6速ミッションで、この穴はミッションケース側にある、
リバースロックソレノイドが入る。
5速MTには無かった。
LSDにサイドベアリングのインナーレースをプレスで圧入する。
ノーマルのLSDから
スピードセンサー駆動用のリングギアを外して
OSのLSDに組み込む。
軽い圧入なのでプラハンマーで入れられる。
入れるのは簡単だけど、ノーマルから抜くときにちょっときつい。
このギアはデフケースとASSY販売で
万一壊した場合 単品でHONDAから出ないので壊さないように注意。
説明書では ファイナルドリブンギアとオイルポンプ周辺が干渉するので
ケース側を削れと指示があるけれど、
1ミリ近辺の隙間で逃げているので 加工せずにいけた。
これは、5MT 6MTどちらでも同じでした。
ちなみに、これはノーマルファイナルギアを組んだ場合。
4.4ファイナルでも、
リングギア外径はそれほど大きくなっているわけではない。
今回のLSDは初期ロットではないので、
歯形の設計変更で逃げたのかもしれない。
右がOSのオイルポンプギア 左が純正のギア。
シャフトから純正ギアをプレスで抜いて
OSのギアに圧入して組み立て。
このギアは最後まで圧入ではなくて
ケースに対して高さ調整しながら圧入。
ノーマルデフとペアだった ベアリングアウターレースをケースから抜く。
整備書では お湯等を使ってケースを暖めて抜くと書いてあるが、
とてもじゃないけど抜けなかった。ケースを軽く暖めて
汎用のベアリングアウターレースプーラーを使って抜いた。
デフ、カウンターシャフト、オイルポンプギア の3点をケースに入れてみる。
こんな感じで位置関係を確認して次の作業へ。
LSDのみをケースに入れて
規定トルクでケースをボルトで組み立てる。
デフサイドベアリングのプリロード調整
デフにSSTを差し込んでスピンナーハンドルとバネばかりで計測。
回転開始の規定トルクは20〜30s/cmなので
今回レバーが250ミリだから0.8〜1.2sの間ならOK。
規定値に入らなければ、ベアリングのシムを入れ替えて調整する。
これは6MTでメインシャフトを変える場合。
上はType-Sのメインシャフト
下はS-Zeroのメインシャフト
S-Zeroのシャフトを組むと ノーマルツインクラッチ、
OSツインクラッチどちらでも組み込み可能。
Type-Sのシャフトだと 純正ツインは組み込み不可能。
メインシャフトを換える場合
ケース側ベアリングのシム調整が必要。
あらかじめ シャフトのベアリング取り付け位置のピッチ間寸法を測定しておく。
ロットのばらつきなのかコンマ数ミリの差がある。
ハブやギアを変えなければ調整は不要だけど要確認。
メインシャフトに ギア、ハブ、ベアリング等を組み込む。
この後ケースにメインシャフトASSYを組んで
シャフト前後方向のクリアランスを調整する。
ファイナルが変更になるため
カウンターシャフトはOS製に交換。
カウンター側は特に調整するところはないので、
シャフトからギア類をプレスで抜いて OSのシャフトに圧入する。
これは5速用
作業内容は6速と同様。
カウンターシャフト ファイナルドライブギアの比較。
左がOS製でファイナル4.4。
外径もかなり小さい。
ギアの外径が小さくなるけれどベアリングへに入る部分を同じ径にするため
歯切り加工後シャフトにカラーを組んで外径を合わせているようだ。
これは、6MTでカウンターシャフトに組まれている 1速ギア。
ハブのかみ合い面がギアの内側に追い込まれている設計で
分割製作して 溶接組み立てされている かなり凝った構造。
おまけに ダブルコーンシンクロだ。
カウンターシャフトに ギア類を圧入で組み込む。
トップナットを規定トルクで締めて完成。
これは 6MTのリバースアイドラギアの部品一式。
5MTはケースに対してシンクロを効かせて
ギアの回転にブレーキをかける方式だったけど
6MTは互いのギアの回転を同期させる方式に変わっている。
組み立てた状態。
センターシャフトにロックやピンが無くてスライドするので
ケースに組み込みがすごくやりやすくなった。
5MTだとシャフトにピンが入り上下しないため
ケースへの組み込みがきつかった。
組み立てた6MT用リバースアイドラ&シフトフォークASSY
これは6MTの写真
ケースに メイン&カウンターシャフト、デフ
リバースアイドラ&シフトフォークASSYを組み込む。
このときの難易度は 5MTに比べて楽になった。
こちらは5MT
ミッションケースを組み込む。
この組み立ても 6MTは楽になったようだが
それでもシャフトが多いので 一発では入らない。
合わせ面に塗られた液体パッキンが固まらないうちに
上手くケースを合わせて組み立てて ケースをボルトで規定トルクで締める。
一番入りにくいのはメンドラのベアリング。
ケースを暖めておくと入りやすい。
ケースが組み上がったら
センサー類をミッションに取り付けていく。
これが 6MTのリバースロックソレノイド。
これに12Vをかけるとピンが出て
シフトレバーがリバース側に倒れないようににロックされる。
車速が30q/hほど出ると通電されて
25q/hまで落ちると切れる。
走行中はシフトレバーがバック側に倒れないようにしている。
そんなわけで
組み上がった6MT改 ファイナル4.4 機械式LSD。
同時に組んだいつものTYIZ仕様OSツインクラッチ
エンジン側に
頭を落として6角穴付きボルトを埋め込み溶接した治具を入れてから
ミッションを載せると 作業がスムーズに出来る。
100q/h巡航時のエンジン回転数
ファイナルを下げて加速仕様にした場合
当然巡航中のエンジン回転数は上がりますが
6MTで2700rpm 5MTで2850rpmに収まりました。
これなら高速巡航もストレス無くこなせますね。
そして、このファイナル変更に対する効果ですが、
これは大変劇的なものがあります。
詳細は 掲示板の 2002年7月頭頃を参照してください。
この6MTはその後OHして5&6速もダブルシンクロに交換しました。
部品は完全ボルトオンでフォーク類はそのまま使えます。
シフトフィールは劇的に軽くなります
前期の6MTでOHする場合 是非行いたい変更です。
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