3台目のATMT換装作業を行ったダイスケ号で
分かった情報を記録します
エム号では オーナーが比較的おとなしい人で
サーキット走行やハード走行をしないという条件であったので
作業を安価に抑えるために制御系は触らない事にして
あえて作業記録には残していませんが
元々ECUがAT用であるため
ECUへ入力するシフト位置信号の扱いで
アイドリング安定性などに変化が生じる事が分かっていました。
具体的には
ニュートラル信号を入れておくと
暖機のファーストアイドル、アイドリングの状況は
全く自然で快調なのですが、
暖機後もレブリミットは7000rpm止まりになり7500rpmまで回せない様になります。
Dレンジ信号を入れると
暖機中のアイドリングは高めで上下して
暖機後も走行中クラッチを切った際などに
回転落ちが悪い症状が出ます。
しかし、この状態だとリミットは7500rpmまできっちりと回ります。
これはおそらく
元々ATであるため Dレンジだとトルクコンバーターの抵抗を考慮して
アイドリングを高めに制御しているのではないかと思われます。
そして、Nレンジだと
無負荷空ぶかしと判断されるため
リミットが7000rpm止まりになるのだと思われます。
今回作業したダイスケ号は
エンジンはATのままMT換装して
そのMTも5速でOSのファイナル&LSDキットを組みこんで
サーキット走行を楽しむ仕様にするために
レブリミットは本来の7500rpmにしたかったため
スイッチでNレンジ、Dレンジと切り替えるようにしてみました。
その状態でダイナモで検証してみると
色々分かった来ました。
今回のミッションはOSの4.4ファイナルとLSDキットが組まれている。
中古ミッションだったので一度OHして使用。
同時にエキマニも交換
NやDが点灯しないように
メーターを分解して細工。
D、N切り替えスイッチは
空いていたメクラに取り付け。
で、ここに取り付ける。
ダイナモでパワーチェック
Dレンジ計測で
なんと288.8psを記録。
NレンジとDレンジでのパワーカーブ比較
6000rpmから大きく変わってくる。
このことから高速側カムへ切り替わっていない可能性がある。
MT仕様のC30Aとの比較 信号はDレンジ状態
レブリミットが7500rpmであるため頭打ちになるけれど
そこまでのパワーは全く互角
今回の検証で
実は、ATエンジンとMTエンジンでは
決定的な性能差は無いという事が分かってきました。
比較グラフがここまで重なってしまうと
上の500rpmを使わない限り
エンジンとしての差はまったく無いと思われます。
前回のエム号の時には オーナーの乗り方を考慮して
常時N信号だったので
計測値も低かったのだと思われます。
従って
NSXのAT→MT換装を行う上で
本来のパワーを出す事にこだわるなら
Dレンジ信号を入れる必要がある事が分かります。
しかし、常にDレンジだとアイドリングや
ファーストアイドルなどに不具合が出る可能性があるので
今回のようにスイッチで切り替えるか、
可能であればECUのデータ変更でこれをクリアする事が必要です。
かっちゃん号の時のようにエンジンとECUをMT用に交換すると
今回のような症状は発生せずにきれいにアイドリングするのですが
AT制御の残っている場合に於いては
何らかの細工をしてやらないと
アイドリング不調かパワーが出ないと言った症状が出るようです。
もっとも、オーナーが納得すればエム号の時のように
常時Nレンジで走行してもまったく問題なく走るので
二択であればNの方が良いと思われます。
実際今回の車輌で走行してみると
ストリートレベルでの全開走行では
NでもDでも体感加速の点ではそれほど変わりません。
7000rpm時に20ps近く違いますが
6000rpmまでがまったく同じなので 1速2速では吹けきるのが早くて
あまり変わらないのが実情です。
しかし、ダイナモでこれだけ変わっているので
4速6000rpm以降などでは大きな差になる事が想像できます。