KSPで行うMT換装もこれで4台目
今回のKoo号では現状ストリート&サーキット仕様で考えられる最終形のNSXミッション
純正6速+OS4.4ファイナル&LSDを全て新品部品から組み立てて
このミッションをAT車に換装しました。
6MTのメリットとして、クロスレシオであるため
シフトチェンジの際回転落ちが少ないと言うことがあります。
今回はATエンジンであるが故レブリミットは7500rpmですが、
4.4ファイナルの6MTを組み合わせると
リミットいっぱいに回すフル加速の際
シフトチェンジ後の回転落ちが少ないため
500rpmレブリミットが低いことを完全にカバーして小気見よく加速します。
本来はサーキット走行時に最大のメリットを引き出す6速ミッションですが
ATエンジンとの組み合わせも非常に良いことが分かります。
また、コスト的な面においても
中古ミッション価格が高騰しているため
程度の分からない中古MTをOHして使うよりも
いっそのことフル新品で組み立てた6速ミッションを使ってMT化するのは
エンジンとミッションの相性の点を考えても
非常にお勧めできるメニューだと思われます。
まずはミッション組み立てから
部品商から届いたミッションパーツ
ギア1個ボルト1本に至るまで全て新品梱包してある。
これを全て開封してチェックするのはかなり大変。
VTECスポーツ誌で取材があったため
重要部品を並べて撮った写真。
これでほぼ全てのパーツ点数。
これを1点1点組み立てていく。
全て新品なので ケースとの寸法関係をシムで調整する
デフにSSTを取り付けて 先端に1mのバーを取り付ける
デフサイドベアリングの起動トルクを計測しながら
シム調整
メインシャフトの長さ方向は皿バネで押さえられている構造。
プリロード調整のため
分解組み立てを繰り返してシムを選択する
シム調整終了後
メイン&カウンターシャフト等をセットしてケース組み立てを行う。
センサー類を取り付けて
ミッションの完成。
今回はOSのツインプレートクラッチを使うため
専用のレリーズフォークを組み込む。
以上でミッション関連の作業は終了。
ここからは今までのMT換装同様車輌側の作業になる
ATを降ろす
クラッチを組み込む。
ATミッションから取り外した
車速センサーを2個ともMTに移植する。
MTを載せる
通常のクラッチ交換のように ミッションジャッキで載せる
ミッション搭載完了。
シフトレバー関連の部品
これも全て単品部品から組み立てる。
コンソールを分解して
MT用の部品を組んでいく
同時に 電気配線を行う。
室内側の作業
ステアリングコラムを外さないと出来ないためかなりの大作業。
ペダル類を取り付けて終了。
シフトレバーを取り付けて
室内の完成。
完全にMT仕様になりました。
今回は N&Dレンジ切り替えはエンジン回転数感応で
走行中のリバースシフト対策は車速感応にすることで
全て自動制御させることにしました。
従ってレブリミットが500rpm低い以外は
まったく自然にMT車として乗れる仕様に仕上がりました。
実際このクルマに乗ってみると
ATの頃がウソのように気持ちよく加速します。
オーナーも「同じエンジンとは思えない」と言っていますが
C30Aエンジンの本来の力とはこのくらいあると言うことです。
イージードライブの出来るATの良さも分かりますが、
やはり、流体トルク伝達でワイドレシオのATミッションと
ダイレクトに繋がるクラッチとクロスレシオMTとの組み合わせでは
加速力と楽しさの点では大きく異なります。
現在AT車に乗っているオーナーで
MT車への乗り換えを検討している方も多数いると思われますが、
走行性能と乗り換えコストの点においても
動作保証の取れていて、愛着のある現在のNSXをMT化するのも
良い選択肢であると思います。